2025.11.07

老朽化した水道管の交換費用はいくら?誰が負担?全国203万世帯の鉛管問題も

2025年1月28日、埼玉県八潮市で下水道管の破損による道路陥没事故が発生し、走行中のトラックが転落して運転手が死亡するという痛ましい事故が起きました。4月30日には京都市下京区で水道管の破裂により国道1号線が冠水し、約6,500世帯が断水する被害が発生。5月30日には長崎市で約100年前に設置された鋳鉄製の水道管が破損し、道路に約1メートルの亀裂が入り陥没する事故が起きました。

これらの事故は、すべて老朽化した水道管が原因とされています。全国で水道管の老朽化が深刻化しており、赤水や漏水などのトラブルが増加しています。

老朽化した配管の交換は喫緊の課題ですが、膨大な費用負担や人口減少による財源不足により、行政による全交換は実質的に困難な状況にあります。そこで今回のお水ブログでは、水道管老朽化の実態、交換費用の負担構造、そして家庭で実施できる現実的な対策について、公的機関のデータをもとに詳しく解説します。

設置から50年経過した配管が抱える問題とは?日本全国の水道管の老朽化の状況

日本の水道管の大部分は1960年代から1970年代の高度経済成長期に敷設されました。当時は急速な都市化と人口増加に対応するため、全国各地で水道網の整備が急ピッチで進められていた時期となります。

これらの配管は現在、設置から40〜50年が経過しています。一般的に水道管の設計耐用年数は40年とされているため、多くの配管が想定寿命を超えた状態で使用され続けているということになります。

配水管や給水管が原因となって有害物質に暴露する水道水

水道管の老朽化が進行すると、腐食や材質劣化により漏水が発生するリスクが高まります。漏水が発生した場合、水道管の外部から土壌や細菌が内部に侵入し、水道水質の安全性に重大な影響を及ぼす可能性があります。

全国に残存する危険な鉛製給水管の問題

都道府県別鉛管残存率マップ

高残存率(15%以上)
中程度(5-15%)
低残存率(5%未満)
北海道
18.5%
青森
22.1%
岩手
12.3%
宮城
8.7%
秋田
16.4%
山形
19.8%
福島
11.2%
茨城
3.2%
栃木
4.1%
群馬
2.8%
埼玉
1.9%
千葉
2.3%
東京
1.2%
神奈川
1.5%
新潟
3.8%
富山
2.1%
石川
1.8%
福井
2.4%
山梨
7.2%
長野
4.5%
岐阜
3.1%
静岡
2.7%
愛知
1.6%
三重
2.9%
滋賀
1.7%
京都
1.4%
大阪
1.1%
兵庫
1.8%
奈良
2.2%
和歌山
3.6%
鳥取
8.9%
島根
9.3%
岡山
6.7%
広島
7.1%
山口
8.4%
徳島
17.2%
香川
27.8%
愛媛
16.9%
高知
12.7%
福岡
6.3%
佐賀
7.8%
長崎
9.1%
熊本
8.6%
大分
6.9%
宮崎
7.4%
鹿児島
8.2%
沖縄
3.4%
参考資料:国土交通省「鉛製給水管の解消について」

国土交通省の「鉛製給水管の解消について」によると、日本全国で鉛製給水管が依然として多数使用されています。

鉛は過去には給水管材料として広く使用されていましたが、水道水への鉛溶出による健康被害のリスクが明らかになり、現在では新規使用は禁止されています。

鉛管の全件交換には数十年以上かかる見込み

鉛管残存率上位10都道府県ランキング

順位 都道府県 残存率
1位 香川県 27.8%
2位 青森県 22.1%
3位 山形県 19.8%
4位 北海道 18.5%
5位 徳島県 17.2%
6位 愛媛県 16.9%
7位 秋田県 16.4%
8位 高知県 12.7%
9位 岩手県 12.3%
10位 福島県 11.2%

全国平均との比較

  • 全国平均残存率:約8.2%
  • 最高残存率:香川県(27.8%)
  • 最低残存率:大阪府(1.1%)
  • 地域格差:最高と最低で約25倍の差
参考資料:国土交通省「鉛製給水管の解消について」

既存の鉛製給水管の撤去・更新は依然として十分には進んでいません。令和4年度末時点で、全国の水道事業者のうち約36%(463事業者)で鉛製給水管が残存しており、延長は約3,400km、使用戸数は約203万戸にのぼります。

近年は撤去が進むものの、その減少速度は鈍化しており、過去10年間の平均撤去量は年間約290km・約16.8万戸にとどまっている状況です。なお、都道府県ごとに残存状況には大きな差があります。

なぜ交換が進まないのか?水道管交換における費用の問題

スタッフ

老朽化した水道管や鉛製給水管の敷設替えは喫緊の課題となっていますが、莫大な更新費用がかかるため行政による全面的な配管交換は実質的に困難な状況にあります。

また、個人が給水管の交換を試みる場合も、工事費用が高額であり手続きも複雑なため、現実的な実施は難しいでしょう。その構造的要因と費用負担の実態について以下に解説します。

老朽化した水道管や鉛管を全面的に更新するには数兆円の費用が必要

日本は人口減少に伴い水道使用量が減少傾向にあり、水道料金収入も年々減少しています。そのため多くの自治体で水道事業体の経営が悪化しています。

老朽管のすべてを新しく更新するには、費用を最終的には水道料金に転嫁せざるを得ず、大幅な料金改定を避けることができません。しかしすでに家計負担が増大している現状において、水道料金の大幅値上げは住民の理解を得ることが難しいでしょう。

そのため各自治体は、限られた予算のなかから漏水リスクの高い箇所を優先的に更新するという段階的なアプローチを取らざるを得ない状況になっています。

水道管路の更新率は年間約0.7%程度

限られた予算配分のなかで優先順位をつけて更新事業が進めていますが、設備投資予算の圧迫により、水道管路の更新率は年間約0.7%程度にとどまっています。この更新ペースでは、全配管の更新完了には130年以上を要する計算となり、現実的な解決時期の見通しは立っていません。

水道管の種類と管理責任(交換費用の負担者)

水道管

水道配管は大まかに分けて以下の3種類あります。この管理区分によって老朽化した水道管の交換費用の負担者は明確に区別されています。

  • 浄水場から水を運ぶ「配水管」
  • 家庭に水を供給する「給水管」
  • 使用済みの水を排出する「排水管」

1.配水管とは?

配水管は、浄水場から各戸の水道メーターまでの配管を指し、水道事業者(多くの場合、自治体の水道局)が管理しています。

道路下に敷設された公共インフラであり、維持管理費用は税金および水道料金収入で賄われています。

2.給水管とは?

給水管は、水道メーターから建物内の各給水栓(蛇口)までの配管で、建物所有者が管理責任を負っています。

持ち家の場合は所有者本人、賃貸住宅の場合は建物所有者(貸主)が管轄となります。

3.排水管とは?

排水管は、使用後の水を下水道または浄化槽に排出するための配管で、給水管と同様に建物所有者の管理範囲です。

老朽化した各水道管の交換費用の負担者の注意点

配管系統図

浄水場
【公共施設】
配水管
(水道局管轄)
【公共施設】
水道メーター
【境界線】
【管理責任】
給水管
(建物所有者管轄)
【個人負担】
蛇口
【個人負担】

管理責任と費用負担の区分

区分 管理責任 費用負担 備考
配水管 水道事業者
(水道局)
水道事業者
(税金・水道料金)
浄水場から水道メーターまで
給水管 建物所有者 建物所有者
(自己負担)
水道メーターから蛇口まで

重要なポイント

  • 水道メーターが管理責任の境界線となる
  • 配水管の更新費用は税金・水道料金で賄われる
  • 給水管の更新費用は建物所有者の自己負担
  • 給水管の交換は数十万〜数百万円の高額な工事となる
参考資料:国土交通省「水道事業の仕組み」、東京都水道局「水道管の種類と管理区分」

配水管の更新費用は水道事業者が負担しますが、給水管の交換費用は建物所有者の自己負担となります。

ただし、給水管の交換は工事費用が高額で、手続きも複雑なため、実際の交換事例は非常に少ないのが現状です。

個人が老朽化した水道管を交換することは本当に可能なのか?

給水管については理論上は建物所有者の費用負担で交換が可能です。しかし実際に実施するには多くの困難が伴います。

給水管は道路の地中に埋設されているため、交換工事には道路の掘削を伴う大規模な土木工事が必要となります。さらに、道路使用許可申請、道路占用許可、近隣住民への事前説明、工事施工、道路復旧など、複雑な手続きも求められます。

これらの工程には専門的な知識が求められるため、個人が単独で実施するのは現実的ではないでしょう。

水道管の交換工事費用の目安

配管の延長、埋設深度、道路の種類(幅員、舗装状況等)によって変動しますが、工事費用は一般的には数十万円から数百万円の規模になります。

ただし、管理区分の解釈が自治体によって異なる場合もあります。対象の配管が水道局管轄なのか建物所有者管轄なのか、必ず事前にお住いの地域の管轄状況を確認しましょう。

有害物質を最多104種類除去できる浄水器を設置して、今すぐ対策しよう

老朽化した水道管、多数の鉛管に対応するために、今すぐご家庭に浄水器を設置しましょう。

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すべてのモデルが溶解性鉛に対応しており、NSF認証において99.3%以上の除去率が認められています。

そのほか試験認定されている除去項目や除去率は、こちらからご閲覧いただけます。

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水道管の交換工事の検討前には誰に相談すればいい?

古い水道管の内側には、長年の使用でサビや汚れが溜まっています。これらが剥がれて水に混ざると、蛇口から赤茶色の水が出る「赤水」の原因になります。赤水は見た目だけでなく、洗濯物に色がつくなど日常生活にも支障をきたします。

もし気になる症状があれば、水道局や専門業者に相談してから、必要に応じて水道管の交換を実施しましょう。

方法1.水道局に水質トラブルについて相談する

蛇口から出てくる水道水の色や濁り、におい、味などを定期的にチェックしましょう。残留塩素の濃度の確認も重要です。

もしも普段と違うと感じられる変化があれば、水道局に相談しましょう。各地域の水道局では、個人向けに電話相談や水質検査サービスを提供していることがあります。 そのほか、以下のような専門機関に詳しい検査分析を依頼することも可能です。

(例)東京都内で利用できる水質トラブル対応サービス

1.東京都水道局お客様センター(電話相談可能で、水質に関する相談や赤水などのトラブルに対応しています)

2.一般社団法人東京都食品衛生協会 東京食品技術研究所(水道法や建築物衛生法に基づく水質検査を実施しています)

3.東京都健康安全研究センター(建築物飲料水水質検査業の登録や精度管理事業を行っています)

なお、東京都水道局では個人向けの水質検査は実施していませんが、水質トラブルに関する相談は受け付けています。

方法2.マルチピュアのカスタマーサポートに相談する

MULTIPURE(マルチピュア)では、日本の水道水にお困りの方のサポートを行うなど、製品販売の枠組みにとらわれないさまざまな活動を行っています。

水道水に関するお悩みがありましたら、お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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